サケバヒヨドリ
キク目 キク科
山地の林縁や草地に生える多年草で、高さは0.5~1mになります。
日本の固有種で、本州(関東以西)、四国、九州に分布します。
花は9月~11月に咲き、白色のものから淡紅紫色のものまであります。
葉は3深裂し、それがさらに裂けてキクバヒヨドリ(ヒヨドリバナ2倍体)とよく似ています。
図鑑やインターネット上で葉の裏に腺点があるものがキクバヒヨドリ、腺点がないものがサケバヒヨドリとして見分けることができると書かれているものをよく見かけますが、腺点の有無では見分けることができず、サケバヒヨドリにも腺点の有るものと無いものがあるので要注意です。
たとえば平凡社の図鑑「日本の野生植物」の旧版では、検索表でサケバヒヨドリは「葉の裏に腺点がない」、キクバヒヨドリは「葉の裏に腺点がある」と書かれ、これが見分けるポイントとされています。
インターネットで調べると、「松江の花図鑑」のサケバヒヨドリの説明では「腺点はないかまばらにある」と書かれ、「三河の植物観察」のサケバヒヨドリの説明には「腺点はない。腺点のあるものはキクバヒヨドリである。」と書かれています。さらに、「関西の花」を見ると、サケバヒヨドリは「ふつうは腺点がないが、時に腺点を有し」と書かれ、キクバヒヨドリは「葉裏に腺点が多数ある」と書かれています。
一方「京都府レッドデータブック」のキクバヒヨドリの説明では、「サケバヒヨドリにも似ているが、葉裏に腺点がない。」と逆のことが書かれています。
今回の加西市のものは葉裏に腺点が多数見られましたが、すぐ隣に生えていたヒヨドリバナ倍数体(オオヒヨドリバナ)より大きくてがっしりしており、キクバヒヨドリではないようです。
また面白いことに、隣に生えているオオヒヨドリバナの葉裏には、普通は多く見られる腺点が全く見られませんでした。
サケバヒヨドリの方が葉がやや厚く、キクバヒヨドリの方は葉の色が濃緑色という特徴があります。
ちなみに、キクバヒヨドリは兵庫県内では六甲山系でやや普通に見られますが、他の地域では確認されていません。
(写真)2021.10.4 加西市佐谷町
(写真)2021.10.1 加西市佐谷町
(写真)葉の裏の腺点 2021.10.1 加西市佐谷町
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