ヒガンバナ(マンジュシャゲ)
キジカクシ目 ヒガンバナ科
田のあぜや土手に生える多年草で、花茎は高さが30~50cmになります。 中国の揚子江流域が原産地で、日本には稲作の渡来以前に食用として持ち込まれたと考えられており、北海道~沖縄と全国各地で見られます。 中国に自生する3倍体のヒガンバナのうちの1系統が日本に渡来しており、中国には2倍体のものも含めて多くの系統のものがあります。 日本に生えているものは3倍体であるため、受粉しても種子ができず球根で増えており、分布は人里に限られています。 花は9月の秋の彼岸頃に咲き、花が咲いているときは葉は出ていませんが、晩秋から翌年の春まで葉を茂らせて養分を球根(鱗茎)に貯めます。 球根には多くのでんぷんが貯蔵されていますが、リコリン等の約20種類の有毒成分(アルカロイド)を含んでいます。 そのため、球根を細かく叩き潰して水でさらすことにより水溶性の有毒成分を除去し、デンプンを取り出して食用にされました。 ヒガンバナは、どういう訳か日本の古い書物には名前が出てこず、江戸時代の与謝蕪村の俳句に「曼珠沙華(まんずさげ)」として初めて登場します。 マンジュシャゲという名は、仏典の法華経にでてくる真っ白で天人が雨のように降らせる天上の花をサンスクリット語で読んだものといわれていますが、なぜヒガンバナにこの名が付けられたのかよくわかっていません。 東北弁の「まんず咲ぐ(葉のつく前に花が咲く)」がなまって、この呼び名に仏典に出てくる漢字をあてたという説があります。 (写真)2016.9.24 篠山市今田町