ナンテン
キンポウゲ目 メギ科
常緑の低木で高さ2m、直径2cmくらいですが、中には高さ5m、直径5~6cmになるものもあります。
中国の中部以南とインドに分布し、日本では本州(茨城県以西)、四国、九州に見られますが、古い時代に渡来したものが野生化したのではないかと考えられています。 花は5月~6月に咲き、花粉は昆虫が運びます。 果実は10月~11月に赤く熟し(白実のものもあります。)、野鳥が食べて種子を散布しますが、冬の遅い時期まで果実が残っているところを見ると、他の木の果実がなくなった頃にようやく食べにやってくるように思われます。 名前の由来は漢名の南天燭、南天竹といわれ、中国の中部以南に産するので南天、その実が燭火のように赤いことから燭の字がつけられ、株立ちの姿が竹に似ていることから竹の字がつけられているとのことです。 読み方が難転と同じで「難を転ずる」ということで縁起のよい木とされ、家の鬼門(北東の方角)または裏鬼門(南西の方角)に魔除けの意味を持つナンテン、ヒイラギ、オモトを植えるとよいといわれてきました。 また、江戸時代の和漢三才図絵という書物には「南天を庭に植えれば火災を避けられる」と書かれており、家の玄関前によく植えられました。 さらに、便所の前にも「南天手水」と呼んで、葉で手を清めるなどの目的で植えられました。 他に、食あたりを防いで長寿になるといわれて、ナンテンで作った箸が使われました。 葉には猛毒のシアン化水素が含まれていますが微量なので危険性はほとんどなく、食品に添えることにより防腐に役立っているといわれています。 果実は多くの種類の有毒成分を含んでいますが、白実のナンテンの果実乾燥したものを南天実と呼んで咳止めなどの薬にもしています。 高知県では、皿鉢料理の飾りに使われるハランやナンテンがずっと皿に残っていることから、宴がお開きになってもしつこく飲み続けてなかなか帰らない酔客のことをハラン組、南天組と呼ぶそうです。 (写真)実 2018.12.12 加古川市八幡町
(写真)花 2020.6.27 たつの市新宮町